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笹幸恵
2017.5.4 16:47

レガシーのための改正か?

安倍首相の憲法改正の意向を受けて、

古屋圭司・選挙対策委員長がさっそく私案を開陳。

 

九条一項二項は変えないで、三項を追加。

 

念のため、ここに九条をあげておく。

第一項

日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、

国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、

国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

第二項

前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。

国の交戦権は、これを認めない。

 

(古屋案)

第三項を新設

「前項の規定にかかわらず自衛のための自衛隊を置ける」

 

うーーーーん。

どこからどう見ても、一項二項を現状維持で

自衛隊を明文化するのは無理がある。

そもそも「前項の規定にかかわらず」と書いてしまっては、

一項二項を自らないがしろにしている。

それに、やっぱり自衛隊は軍隊でもないし、戦力でもない、

ということになる。

明記すりゃいいってもんじゃない。

位置づけをしなければ意味がない。

二項と両立させるということが、いかに矛盾に満ちているか、

この私案を見ればよくわかる。

 

安倍首相は、今までの自民党改正案にはこだわらないという

柔軟な姿勢を見せたけれども、

石破茂氏は「今までの党内議論は何だったのか」と

さっそく異論を表明。

そりゃそうだよね。

変えられれば何でもいいのかって話になってしまう。

周囲への理解があるように見せているけれど、

何一つ芯が通っていないのだ。
筋も通っていないのだ。

数年前、憲法改正の手続きを定めた

96条を変えろと言っていたのも安倍首相。

真正面から議論せず、こすっからい抜け道ばかりを

探しているんだから、もはや政治家の本分を

忘れてしまっている。

 

民進党の蓮舫代表は

「誰のために改正するのか。

自分のレガシーのためではないか」

と批判したけど、一理あるのではないか。

 

 

笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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